チェリー アミュレット

最近何かと話題の中国ですが、ここ数日ネットを騒がせている新しいニュースが、中国製自動車の安全性の話題らしいです。

痛いニュースなどによれば、中国・奇瑞汽車（quiri Quiche: Chery automobile）の自動車、アミュレット（中国名：旗雲）がロシアの自動車雑誌「アブトレブ」が行った衝突安全試験で恐るべき結果を示したというもの。
Youtubeにその試験動画が掲載されて、話題を呼んでいます。
http://www.youtube.com/watch?v=f7rrk3ZjN-I

たしかに酷い壊れ方で、前席はおろか、後部座席にいたるまで破壊されています。
トヨタのアリストがきちんとキャビンの形が残っているのと比較すると、これが同じ自動車という製品なのか、という感じです。
痛いニュースのコメントは、「ダンボールでできているんだろ」とか「アルミ缶かよ」「人減らしの一環じゃないのか」といった非難轟々、お決まりの中国バッシング全開で進行しています。

ただ、このアミュレットの価格は日本円で107万円程度だそうで、日本車で言えばハイグレードの軽自動車かリッターカーの最下位モデルといったところ。こ れできちんとしたセダンの形で、1.6Lのエンジンを積み、ドイツのZF製CVTまで積んだモデルもある、ということなので、相当のコスト低減が図られた ことだろうと思います。
ちなみに1.5Lのカローラアクシオは一番安いグレードで150万円です。国内生産でこの価格はさすがトヨタと言わざるを得ません。その下でどれだけの人が泣いていようとも。

その結果として、低価格を実現するために、お手本にした車から走行性能に必要無さそうな部分を削り取ったのかもしれませんし、もしかすると（構造計算なしに）適当に部品を削減したのかもしれません。
まあ、どちらにしろ外国車コピーの中国車があふれている現状を見る限り、中国メーカが各部品の設計意図を正しく汲み取れているとは思えないですし、ボディーやフレームでなく、ブレーキやステアリングが改悪されていたりしたら、目も当てられないことになってしまいます。

今後、中国の自動車メーカが今回のような問題を改善するには、外国者の真似でなく、自社での設計開発を行える開発体制や、日本車のピラーなどで使用されている高張力鋼（ハイテン）などを安価に調達することなどが必要になるのでしょう。
中国には新日鐵と提携している宝鋼がありますので、ハイテンに関しては、じきに生産技術を獲得するかもしれません。ただ、ハイテンは世界的に見ても鉄鋼業界の目玉商品なので、国内の鉄鋼各社が易々と技術が盗まれるような真似は許さないでしょう。
結局のところ、安かろう悪かろうでも、安い価格で新興国のシェアを獲得していくことが、中国の自動車メーカが生き残っていくための道なのかもしれません。

最後に、潰れていない（笑）アミュレットと、QQの写真を貼っておきます。
アミュレットは正直、先代カローラを改悪したようなスタイルですが、QQはなかなか可愛らしくまとまっています。

アミュレット（旗雲）


QQ



・・・と思ったら、QQはGM大宇のマティス（下写真）のコピーのようです。確かにそっくりだ。残念。

GM大宇　マティス


やはり、中国メーカに自力開発を求めるのはまだまだ難しいようです。